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ツイッターのRTありがとうございましたw

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ご興味のある方は是非のぞいてみてください。
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一つ下の記事になっております。

***

先日ツイッターのほうで「物書きさんへのお題」
というかそんなんがあって(正式名称忘れたorz)
いくつかRTされたら質問に答える、みたいな
感じで、その最後にあったのが
「19RTされたらSSプレゼント」でした。
HAHAHA、19RTなんて集まらないよハハッ、とか
高をくくっていたらRTだけで20越えて、
ふぁぼも合わせるともっとになっちゃったので、
これはSSを隠しかあるまいよ、ということで
書きました。『呪われ姫と婿入り王子』の一コマ。

他の作品のSSも書きたいのですが、完結していないと
なんとなく書きづらいし(本編に差し障りが出てくる
可能性がなきにしもあらずなので……)、
かといって書籍化されているものは勝手に
SSとか書いちゃうと怒られそうだし……
というか出版契約違反とかになるんじゃ?(滝汗
ということで、必然的にSSを書ける作品が
『呪われ姫』くらいしかないというのが実情だったりしますorz

でも人気の作品だし好きだって言ってくれるひと
多いからいいよね! と解釈して突っ走る作者です。
そんなことする暇あるならさっさと改稿版終わらせて
第二部をという声がめっちゃ聞こえる。ごめんなさいorz

なにはともあれSSです。お楽しみください。
あ、ブログなのでRなシーンは控えました。
期待していた方がいらっしゃいましたら深くお詫びいたします。

***

「さて、リーシュ。今夜こそ白状してもらいましょうか」
 表情こそ爽やかな笑顔だというのに、そう問い詰める声は低くて脅しが利いている。
 壁際に追い込まれ、顔の横に両手を突かれたリーシュは、ひくっと口元を震わせた。
「は、白状するもなにも、あなたに隠し事なんて……」
「リーシュ、嘘はいけません」
 しどろもどろなリーシュと違い、クラウドはきっぱり言い切って、彼女の手を取る。
 あっ、とリーシュが声を上げたときにはもう遅い。妻の細い指先にちゅっと口づけてから、クラウドは笑顔のまま問いかけた。
「あなたのこの細指に巻かれている、無数の包帯はなんです? ここ最近手袋を身につけていらっしゃったのは、これを隠すためでしょう。わたしの目は誤魔化せませんよ」
 クラウドの言うとおり、リーシュの指先、特に左手の指には包帯が巻かれていた。
 指先という日常的に使う部分だけに、傷を負っていてはあまりに外聞が悪いということで、ここ数日は手袋をはめて過ごしていたのだ。
 周囲にはちょっとしたおしゃれをしているとか、指先のケアのためと説明していた。
 実際、そういう理由で手袋をする貴婦人は多い。リーシュが身につけていたのも、最近流行りだというレースを使った手袋だ。
 クラウドも当然手袋には気づいていて、毎日違うデザインのものを身につけていて可愛いですね、と褒めてくれていたのに。
(いったいいつ、怪我のことに気づいたのかしら?)
 首を傾げるリーシュに、クラウドは「見くびらないでください」とわずかに凄みを帯びた口調で言う。
「食事中、メインの料理を切るときに眉をひそめていたでしょう。左手に力が入りづらいのだとすぐにわかりました。昨日の昼に乗馬にお誘いしたときも断っていたし、そのときさりげなく左手をうしろに隠したのを、わたしはしっかり見ていましたからね」
 リーシュはあんぐりと口を開けてしまう。いずれも自分が無意識にしていたことだ。
 それだけに、夫の洞察力に、驚きよりもむしろ空恐ろしさを感じてしまう。
「話を戻しましょう。リーシュ、どうして指先に怪我を負ったのです? そして、なぜそれをわたしにまで隠すのですか?」
「そ、それは……」
「ほんの小さな傷でも、あなたが怪我を負ったなら、わたしは心配せずにはいられないのに」
「あっ……」
 指先に口づけられ、そこから手の甲、手の平と口づけを落とされ、リーシュは尋問の最中だというのに妙な気分になる。クラウドがかすかにのぞかせた舌先で指の股を舐めてきたときには、意図せず妙な声を漏らしてしまった。
「教えてくれないなら、このままキスを続けますよ」
「あ、だ、だめ……、んっ……」
 手首の脈打つところに唇を強く押し当てられ、そのまま肘まで舌を這わされ、リーシュは背筋を震わせてしまう。
 なにか上手く誤魔化せる言葉はないだろうかと思うのに、首筋や耳元にまで口づけられると、頭の中がぼんやりしてきて、まるで思考が働かなかった。
「ク、ラウドさま……、あぁんっ」
「……答えてくださらないなら、このままあなたを貫いてしまうよ」
 硬くなり始めた一物をそれとなく下腹に押し当てられて、リーシュは不覚にも胸を高鳴らせてしまった。
「だ、駄目です、だめ……、クラウドさまぁ……っ」
「――はいはい。そこまでにしなさい。公爵閣下、陛下はまだ髪を乾かしてもいないのですよ。このままでは湯冷めしてお風邪を召されてしまいます。いったん離れなさい」
 あわやこのまま熱くなるのかというタイミングで、ロゼッタがパンパンと手を叩きながら割って入ってきた。
 リーシュは文字通り飛び上がる。一方のクラウドは、不機嫌を隠しもせずに肩越しにロゼッタを睨みつけた。
「ロゼッタ、ここで声をかけるのはさすがに無粋じゃないか?」
「そんなふうに鼻白んでも無駄ですよ閣下。ほら、さっさと退きなさい。陛下の御髪を乾かしますから」
「しかしっ」
「陛下も、素直に話してしまえばよろしいのでは? どのみちもうすぐ完成なのだから、遅かれ早かれ話すことになるでしょうし」
「ロ、ロゼッタ!」
「もうすぐ完成? なにがです?」
 怪訝な顔をするクラウドを、ひとまず身支度を調えるからと、リーシュは脱衣所から追い出した。
「閣下も、陛下が言い逃れできないときを狙ってやってくるのだから、本当に目敏いというかなんというか、ね」
「ロゼッタ……」
「はいはい、リーシュ様もそんな恨みがましい目を向けても無駄ですよ。年寄りにはその程度の脅し、効きやしないんですから。ほら、ローブを脱いで、夜着に着替えて。早くしないと痺れを切らした閣下がまた乗り込んできますからね」
 リーシュはちょっぴりむくれながらも、二人の老侍女に洗い立ての髪を拭ってもらい、湯上がりの身体を包んでいたローブから、薄手の夜着へ着替えた。
 いつもはここで就寝用の飾り気のない手袋をつけていたが、包帯のことがバレたのなら必要ない。寝室に入ると、先に寝支度を調えたクラウドがむくれながら待っていた。
「で、完成とはなんのことですか?」
 さっそく話を切り出すクラウドに、リーシュは「もう」と思いつつ、自室から持ってきた包みを差し出した。
 クラウドが怪訝な面持ちになりながらそれを受け取る。彼の大きな手にすっぽり収まる四角い包みだった。
「開けてもよろしいですか?」
「ええ。本当は、きちんと完成させてからお見せする予定でしたけど」
 クラウドがますます眉を寄せる。包みを丁寧に開いた彼は、そこから出てきた一枚のハンカチーフを広げて、かすかに目を瞠った。
「これは……」
「近々、クラウド様に新しい紋を授ける予定でしたでしょう? 獅子を模したあなただけの紋を。それに合わせて刺してみたのです」
 近く、クラウドには女王の婿と公爵という他に、もうひとつ新たな肩書きが授けられる予定だ。そのときに彼を示す紋も公表する手はずになっていたので、それを祝っての、リーシュからのささやかな贈り物だった。
「では、リーシュのその指の傷は、この刺繍を刺していたから……?」
 真っ白な絹のハンカチーフの隅には、彼に授ける紋と同じ、獅子の横顔が刺繍されている。まだ爪の部分だけ残っていて、完成ではないのだが、もうほとんどできあがっていた。
「刺繍はあまりやったことがないので、不格好で申し訳ないのですけれど」
 傷だらけの指先をなぞりつつ、リーシュは恥じ入ってちょっとうつむく。見本通り針を進めていったはずなのに、図案がどうも斜めになっていて、布もかすかに寄れてしまって、あまり見られたものではない。
 しかし、クラウドはひどく感じ入った様子で、リーシュの肩をぎゅっと抱き寄せた。
「謝ることなど……あなたが忙しい時間を割いて、指先を傷つけてまで用意してくださったなら、これに勝る喜びはありません」
「そ、そんな、大げさです……」
「大げさなものですか。今まで手にしてきたどんな贈り物より嬉しい」
 言葉通り、クラウドはうっすらと頬を染めて、どこか泣きそうな笑顔を浮かべていた。
「ありがとうございます、リーシュ。大切に使わせてもらいます」
「ええ。でも、まだ完成していませんから、一度お返しくださいね?」
「……これ以上、怪我をなさらなければよろしいけれど」
 名残惜しげに刺繍の部分を優しく撫でて、クラウドはリーシュの手にハンカチーフを戻した。
 そして彼女を再び抱擁し、優しいキスを唇に落としていく。
「けど……使うのも、もったいないな。嬉しすぎて。ずっと持っていたいし」
「大げさですわ」
 リーシュは笑って肩をすくめるが、夫が思いがけず喜んでくれたので、本当は枕に顔を埋めて足をパタパタさせたいくらい嬉しくなっていた。褒められたできではないだけに、よけいに浮き足立ってしまう。
 リーシュの指先にまた口づけて、クラウドは「でも」と苦笑した。
「今回は嬉しい驚きだったからよかったけれど、……そうでなくて傷を負ったときには、隠さずにちゃんと教えてください」
「ええ、わかりました」
「本当に? 身体だけでなく、こちらに傷を負ったときも、ですよ?」
 胸元にそっと手を当てられて、リーシュは泣きたいほど嬉しくなる。実際に大きな瞳を潤ませながら、彼女はしっかり夫の目を見て頷いた。
「ええ、もちろん。一番にお知らせします」
「そうしてください」
 クラウドも笑って、リーシュの唇に口づける。リーシュが応えると、ほどなく口づけは深いものになった。

 優しい夜が更けていく。
 お互いを慈しみ合いながら、二人は幸せな気持ちを深めていった。

***

お粗末様でしたノシ
  
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