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『呪われ姫』SS書けた

○子ちゃんにミルクをあげながら
ぼんやり考えていた『呪われ姫』の第二部。
やりたいことが多くて全然まとまらないことに
絶望感とめんどくささを覚えながら、
なんか気がついたらSSができていた(なぜだ

以前あげたこちらの記事と対になっています↓
http://yukarisakura3228.blog.fc2.com/blog-entry-210.html

では、どうぞ。

***

「……おやおや」
 洗い立ての髪をぬぐいながら、扉を開けたクラウドは青い瞳をぱちくりと瞬かせた。
 視線の先には、彼の愛する妻であり、この大国ナーシエーデの女王であるリーシュがいる。長椅子にしどけなく横になった彼女は、大ぶりのクッションを枕代わりに、すぅすぅと寝息を立てていた。
 無防備でいて無垢なその寝姿に、クラウドの口元は自然と緩む。
 先日、ようやくジェノスを始めとした異教徒たちを城から一掃し、『呪われ姫』という不名誉な称号をいただいていたリーシュは、女王として堂々と公の場に立つことができるようになっていた。
 城中を混乱に突き落とした一連の騒動もようやく終着の目処が立ち、これからは隣国ブレズセルとの交渉に向けて、再び忙しくなるというところである。
 騒動の事後処理に、リーシュもクラウドも連日奔走していたが、ようやく終わりが見えて、彼女もほっと一息ついたところだったのだろう。
 今日は軍事訓練に顔を出していたクラウドのほうが帰りが遅かったから、もう真夜中近い時間、リーシュは先に寝ているだろうと思って、夫婦の寝室をのぞいてみた。
 だが寝台に人影はなく、使用した形跡もなくて、首を傾げながら妻の私室に立ち寄ったのだ。そこで、長椅子で寝てしまった彼女を発見したというわけである。
 扉が開く音にも気づかず、すっかり眠り込んでしまったらしい妻に、クラウドは苦笑と安堵を覚える。
 クラウドがこの国にやってきてすぐの頃、彼女は神官たちにほとんど虐待じみた扱いを受けていて、夫とともに眠ることにも神経を使っているようだった。
 当然、うたた寝などできる精神状態ではなく、こんな無防備な姿を見られることなどまずなかったのである。
 それが、今はすっかり安心した様子で寝入っているのだ。彼女にとって、この城内が心休まる場所になっているというなによりの証拠である。
 彼女に安らぎを与えたくて、正当な地位を与えたくて、奔走していたあの頃の行いが報われたような思いだ。
 髪を拭き終えたクラウドはしばらく彼女の様子を見ていたが、このままにしておくわけにはいかないと思い直し、そっとその細い肩を軽く揺さぶった。
「リーシュ、眠るなら寝室へ行かないと。風邪を引きますよ」
 だがリーシュは深く寝入ってしまったのか、「んぅ……」とかすかに眉をひそめただけで、目を覚まさない。
 クラウドはやれやれと苦笑して、そっとその身体を横抱きに抱え上げた。
 しっかり食べるようになった今でも、リーシュの身体はほっそりとしていて、羽が生えているように軽い。
 だが血色や肌つやは初めて会った頃よりも格段によくなり、本来の楚々とした美しさにより磨きがかかったように思えた。
 月明かりしかない寝室に入り、寝台にそっとその身体を降ろせば、まるで眠り姫を前にしているような気分に陥る。
「口づければ目覚めてくれるかな」
 隣に並んで横になりながら、枕に肘をついて身体を起こしたクラウドは、しばし妻の寝顔を堪能する。
 伏せられた長い睫毛、頬にかかる滑らかな黒髪……薄紅色の柔らかな頬を手の甲で撫で、クラウドはさらに深くまで彼女にふれたい欲求を覚える。
 すぅすぅと寝息を漏らす、ふっくらとしたつややかな唇が目に入る……。甘酸っぱい桜桃のような、思わずついばみたくなる唇。
 クラウドは少しのいたずら心を持ちながら、そっと身を乗り出し、その唇に唇を重ねた。
 柔らかく温かな感触は、それだけで欲望の火種になる。
 このままふれ続けたら、彼女はどう反応するだろう……
 そんなことを思いながら、クラウドは大きな掌を彼女の胸にあてがった。
 夜着越しにふんわりとした膨らみを包み込むと、彼女の肩がぴくりと跳ねる。
 起きたかな、と思って唇を離せば、リーシュはかすかに眉根を寄せて、また「うぅん……」と小さくうなる。
 わずかに不機嫌な顔に、クラウドもますますいたずら心を刺激される。
 我慢できずに微笑みながら、掌を胸から下肢へと滑らせようとしたとき――
「……クラ、ド……」
 不意に、その唇から自分の名前が漏れて、クラウドはぴくりと動きを止めた。
 だがリーシュは目を覚まさず、さらに眉根を寄せて身をよじる。
 ふれられるのが不快だったのだろうかと、クラウドは手を引きかけたが……
「んふ……、クラウド……」
 それまで不機嫌顔だったリーシュの面が、一瞬にして、花がほころぶようにぱぁっと明るい笑顔になった。長い睫毛は伏せたまま、しかし本当に嬉しそうに微笑まれて、クラウドも驚く。
 夢見るような笑顔を浮かべたリーシュは、未だ眠りの中を漂いながらも、くすくすと笑い声を漏らした。
 そしてそのほっそりとした腕を、不意にクラウドの首に巻き付けてくる。
 突然のことに驚き、思わず硬直するクラウドのすぐ目の前で、眠り続けるリーシュは吐息混じりに呟いた。
「クラウド……、大好き」
 頬をわずかに紅潮させながら、甘い声音で囁かれる。
 完全な不意打ちに、クラウドは不覚にも、ぼっと耳まで真っ赤になってしまった。
 あまりのことに息まで止めてしまうが、当のリーシュは夫の反応などどこ吹く風、再びむにゃむにゃと寝言を呟くと、そのまますぅっと眠り込んでしまった。
 微笑みの名残を浮かべながら、幸せそうに眠り続ける妻の姿に、クラウドは奥歯を噛みしめる。
(……忍耐力を試されている気分だ……)
 眠っているリーシュにそのつもりはないのだろうが、クラウドにとっては生殺しもいいところである。
 しかし……
 すやすやと、危機感も不安もなく安らかに眠っている妻を見ると、劣情とは別に、庇護欲のようなものがむくむくと首をもたげてくる。
 彼女の眠りを護りたい。その思いが愛情とともにせり上がってきたとき、クラウドは欲望よりも幸せをより強く感じるようになり、思わず苦笑してしまった。
「……まったく。この貸しは大きいですよ、リーシュ」
 せめてもの反抗で呟いてみるが、リーシュは相変わらずぐっすり眠っている。
 そんな彼女を抱きしめて、クラウドも静かに目を伏せた。
 つややかな黒髪に顔を埋め、彼女の匂いに酔いしれる。
 ――愛し合うふたりの眠りを、月明かりがしっとりと包み込んでいた。

***

最後に綺麗な一文を持ってくることで
それまでの残念感を払拭させ、
なんとなくいい話に持って行く。
これ小説の基本だよね(笑

最初のSSでいい思いをしたクラウドなので、
今回は我慢を強いてみました。
こういうのってだいたいヒーローが
ヒロインを美味しくいただきました☆
っていうのがセオリーですが、
たまにはこういうのもいいかな~と思ったりします。

そしてSSにかまけて
『奪われた~』のほう書けてないよ!
21時に間に合うのかなこれ。
とにかく頑張ります。

……あ、でもそろそろ○子ちゃん起きそうだねorz
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Comment

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2014年02月28日(Fri) 12:43
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いつも余裕なクラウドが動揺してるのが
可愛いかったです笑
呪われ姫のSSいつも楽しみにしています。
2014年02月28日(Fri) 21:18
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2014年02月28日(Fri) 23:45
コメントありがとうございます。
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こんにちは、神矢さん。
安心してください、あなたの目は正常です。

ちゃんとジェノス様出ているじゃないですかー、
名前だけだけどー(笑
本当は名前すらなかったところを
神矢さんのために一回だけ出してあげたのですw

もっと出してもいいですって?
ふっ、わたしはそこまで親切じゃないのさ(ニヤリ

神矢さんの目にわたしはエロくてSなひとで映っているらしいので、
神矢さんには徹底的にエロくSで行こうと思いますw
異論は認めません(キリ
2014年03月01日(Sat) 12:06
コメントありがとうございます。
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こんにちは、nonさん。

SSも読んでくださっていたのですね。ありがとうございますw
たまにはクラウドもうろたえてもいいかな~、と思ったり。
年の割にちょっと落ち着きすぎなんですもん(笑

また気が向いたら書く機会もあると思います。
二部共々楽しみにお待ちいただけるとありがたいです。
2014年03月01日(Sat) 12:07
コメントありがとうございます。
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こんにちは、華影さん。

最近は陰湿な鬼畜弟しか書いていないので、
このふたりはいい清涼剤になりました(笑
正当はカップルのほのぼのっていいですよね~w

華影さんの作品も早く続き読みたいけれど、
自分のペースで執筆するのが一番ですので、
無理なさらずに頑張ってくださいw

2014年03月01日(Sat) 12:09












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