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切迫早産を振り返って

いろいろ話題になったドラマ「コウノドリ」が
明日で最終回を迎えますね。
普段はドラマを見ないわたしですが、
今作は時間が合えばリアルタイムで見ておりました。

この作品の原作漫画を知ったのは
ちょうど○子を産んで少し経った頃。
テレビで先天性風疹症候群の特集をやっていて、
それを取り上げている漫画がある、ということで
「コウノドリ」が紹介されていました。
風疹はちょうどわたしが○子を妊娠した年に
大流行していて、わたし自身「予防接種とかしたのかな?
市から助成金出るらしいし、やっておいたほうがいいのかな」と
疑問に思っていた中での妊娠だったので、
妊婦検診時に抗体ができていると聞いたときには
心からほっとしたのを覚えております。

なのでなんとなくこの漫画はいつか読んでみたいな~と思っていて、
いざ読んだのは○市を出産した翌日からでした(笑
電子書籍で試し読み0円だったのでつい読み始め、
その翌日には配信分全部大人買いしてました……(遠い目
甲子園見ながら合間に読んでいたっていうね。
産後なんだからもっと目を労れと自分でも思った。うん。
でも読み始めたら止まらなくなってしまったのだよ……orz
NICU編はもう涙が止まらず、予定日過ぎまで
しっかりお腹の中にいてくれた○市に
感謝の念が尽きなかったほどです。


さて、ドラマでは描かれなかったのですが、
その漫画のほうでは切迫早産による長期入院も
取り上げられていました。二人の保育園児のお子さんを持つ
お母さんが三人目で切迫早産、検診後即入院になり、
最初の一ヶ月、お父さんが仕事に育児に一人
奮闘する羽目になる、というのが前半の主な内容。

男性誌ですので、スポットが当てられるのが
お父さんになるのは当然のことです。
実際自分の実家にも嫁さんの実家にも頼れない、
ひとりで仕事と育児と家事全部をこなさなければならない、
という厳しい状況に陥るお父さんは現実的にも
少なくないだろうし、その点ではこのストーリーは
とてもリアリティもあってよかったなと思っています。

反面、入院しているお母さん側の心情が
あまり描かれていなかったなというのが気になりました。
点滴の副作用なんかも一コマでさらっと流され、
入院生活もただ暇しているだけ、という感じだったので、
お母さん側にスポットを当てた内容を
今後漫画でもドラマでもやっていただけたらいいのにな、
と図々しくも思ってしまいました。

それだけ、安静生活って地獄ですから。

ということで、今年一年の振り返りも込めて、
わたし自身の切迫早産期をつらつら書いてみます。
ある種の自己満足記事ですので
無駄にだらだら長くなりそうな予感。
興味ない方はブラウザバッグ推奨です。

***

はっきり切迫早産と名がつけられた
わけではありませんでしたが、
子宮頸管短め診断はずーっとついて回り、
34wくらいでとうとう頸管長2㎝を切り。
入院したほうがいいとはっきり診断されました。
自宅安静で乗り切りましたが。
入院されている方に比べれば、
実家での自宅安静のなにがつらいのかと
怒られるかと思います。
でも、つらかった。わたしにとってあの二ヶ月は、
人生の中でもっともつらく苦しい最悪の日々でした。

このブログでも暇に任せて毎日綴っていましたが、
まぁ実家での安静の日々は悪いこと寄りの
出来事が多く、家族にさんざん迷惑をかけ、
旦那君や○子にいろいろな我慢をさせ、
わたし自身もグロッキーになることの連続でした。

当然のことながらわたしは安静にしなければならない。
安静とはつまりトイレとお風呂と食事以外
ずーっと横になっていなければならないということです。
横になる体勢もお腹が大きいのでそうそう
変えることはできず、それどころかお腹が張るのを
防ぐためなるべく心臓をしたにするほうがいい、
ということで左を下にする形での横向き寝、これが基本。
お腹の張りを押さえるために食後に張り止めの薬を飲み。
これの副作用がまずつらい。運動しているわけではないのに
全力疾走したあとのように動悸がして息が切れ、
なんとなく吐き気もするし船酔いのような状態もあり、
服用後一時間は手の震えが止まらずペンを持つのも難儀する。
服用している内に慣れるよと言われていましたが、
結局服用しているあいだはずーっとこの症状が続きました。
ひとっっっつも慣れることができませんでした。
おかげで常に体調不良のような状態。
やることがないし、その頃はまだガラケーだったので
ネットを見ることもできず、本ばかり読んでいました。
それも長時間読み続ければ気持ち悪くなったという……
気分が悪いのでノートに小説書こうとしてもうまくいかずに、
プロットを立てるのもままならなかった。
なにより○子がやってきてペンや本を取り上げちゃうので、
そういうときは安静にすることはできず、
お絵かきしたりする○子を横に見つつ、
突進してきたりしないかと常にひやひやしていました。

その○子はわたしとふたりきりのときは
比較的おとなしくしていましたが、
他に甘えられる大人がいるときは、やはり
日頃の鬱憤やら外にあんまり出られないストレス
(ちょうど夏に向かう時期だったため、長時間の外遊びは
そもそもできない凶悪な日差しと気温が続いてました)
もあり、食事のときはちょろちょろ動き回って
全員が落ち着いて食べられないし、
お風呂のときは頭を洗われるのをいやがって
大声で泣き叫んで母の手をわずらわせ、
その泣き声にキレた父が母の手際が悪いと怒鳴り、
躾がなっていないとわたしのことも怒り……。

家族みんながとにかくイライラしていました。
どうにもならないこの状況に。
どうにかしたいと思ってもわたしは動けないんです。
動いちゃいけないんです。どんなに動きたくても。
動くことで今以上に子宮頸管が短くなったら
破水の恐れがあるからです。大量に破水したら、
すぐに産まないとって話になります。
そうじゃないとお腹の赤ちゃんが危険だから。
無事に産まれても早産児になります。
障碍が出てくる可能性も大きくなります。
そうなったら今以上に大変になるのです。

でも、わかっていても、どうしようもできなくてつらかった。
○子にたくさん我慢させて、母につらい思いをさせて、
父の機嫌を損ねて、まだ大学生の弟にも迷惑をかけて、
旦那君も自宅にひとりで単身生活させて、
仕事もできなくて出版社にも迷惑かけて。
そこまでして妊娠することに
なんの意味があるんだろうと思いました。
妊娠や出産って無条件に周囲に幸せを与えるもので、
家族の絆を強くするものだと思っていました。
○子を産んだあともそう思っていました。
でもこのときはまったく真逆の考えに取り憑かれました。
だって、現実問題、わたしの妊娠が原因で
家族がギスギスしてばらばらになりかけていたんです。
わたしのすぐ目の前でそれが起こっている。
小さなお子さんを抱えつつ自宅安静をしている妊婦は、
なにもできない無力な中、家庭崩壊していく様子を
目の前で見せつけられるという現実に襲われるんです。

その家庭にもよるでしょうが、ただでさえそんな中に、
「ずっと寝ていたんじゃ赤ちゃんの発育に悪いんじゃないか?」
「薬なんか飲んだら赤ちゃんに悪影響だろう」
「妊娠中はむしろ動かないと出産が大変になるぞ」
などという言葉を親切心から言ってくる人間がいると
さらに切迫妊婦は追い詰められることになります。
わたしは上記の言葉をすべて父から言われました。
「医者は寝てろって言っていた」などと説明しても
いっさい無視。そもそも医者の言うことなんて当てにならないと
本気で思い込んでいる人間は、上記のことを平気で言います。
父自身が小さめで産まれ、それでもきちんと育って
今も一応元気、という、根拠になるんだかならないんだか
微妙~な事実をもとに言っているもんだから、
こっちがどれだけ説明しても結局は論破できないのです。
世の切迫妊婦さんの中にはこうやって家族の理解が得られず、
本当に苦しい思いをして安静生活に耐えている方が多いのです。

とまあわたしもそんな感じでかなりやられていました。
ただでさえ薬の副作用で体調も落ち着かない中です。
そしてやることがないから無駄に考える時間ばかりある中。
妊娠中の過敏な時期ということもあり、思い浮かぶのは
まず悪いことしかありません。いいことなんてひとつもない。
今家族がこんなことになっているのは
まず間違いなく自分が妊娠したせいだと思い、
一人目から間を開けず二人目を作ったことを間違いだったと思い、
家族に迷惑しかかけられない自分に幻滅しました。
一日中寝てばかりで○子の世話もできずに、
家事のすべてを母に任せる現状に申し訳なささと無力感が募り、
父の言動にイライラしつつも、次にいつキレるのかとびくびくし。
こんな状態が続くなら自宅に戻ったほうがいいと思っても、
いざ○市になにかあったらと思うと怖くて強行できない、
そんな自分にほとほと嫌気が差しました。

一方で、そうやって妊娠したことを後ろめたく思う自分自身を、
母親になる資格がない人間だと思って責めました。
ここは周りがなんと言おうと、お腹の子のためだ!
とそう思って胸を張って乗り切るところだ。
子供のためならどんなつらい状況だって乗り越えてみせるのが
母親ってものじゃないの? 自分、今それができてないじゃん。
妊娠したのが間違いだったなんて考えるなんて、母親として最低。
お腹の子に申し訳ないと思わないの? と、
そういう思いも湧き上がって、母親としての自信も
妊娠したことへの喜びも、なにもかもが粉々に打ち砕かれる思いでした。
○子の躾のことや子育てのことで父に言われたこともあり、
このままふたりの子供を育てることができるのか、
もし早産になりなにか障碍を持った子が産まれた場合、
きちんと育てられるのか、それ以前に愛せるのか、
虐待などに走らないか、ただでさえ○子にだって
手を上げそうになるほどイライラさせられることがあるのに、と、
もはや不安を通り越してパニック寸前の恐慌状態です。

一日一日が長く、しんどく、なくなっていく体力に反し
どんどん大きくなるお腹も重たくて抱えているのがつらい。
子宮頸管の長さを常に気にしているため、
座ることすら気を遣い、立つときは
「お願いだから破水しないで……」と祈りながら。
排尿の瞬間すら恐ろしい。排便なんて地獄。
いきんだ瞬間に赤ちゃんの頭までできたら……と
本気で考えてしまうのを止めることができない。
シャワーをすれば股を伝うお湯が本当にお湯か、
もしかしたら羊水じゃないかと恐怖に駆られる。
お腹が張るたびに息苦しさが増し、お腹の中で
赤ちゃんも首を絞められるような苦しさを
味わっているんじゃないかと思うと眠ることすらできない。

切迫早産により安静を言い渡されている妊婦さんは、
常にそういう不安と恐怖を抱え込んでいるのです。

入院している方はそれに加えて点滴の恐怖が加わります。
点滴は一番弱い奴でも服薬の五倍くらいの強さを誇ります。
わたしは服薬ですら動悸と手の震えに悩まされました。
点滴をしたらこれが一日中、もっと強く続いていきます。
さらにこの張り止めの点滴には血管を弱くする作用があるため、
長く入院している妊婦さんほど点滴の差し替えが
だんだん困難になってきます。ただでさえ痛い針の差し替えを
一回につき何度も何度もやられ、腕が内出血だらけになり、
無事に出産し退院したあとも半年近く、その
点滴の痕が腕に残ったまま消えなかった、という
話すらあるほどひどい状態になるのです。
妊婦さんによっては食事すら横になったまま、
シャワーは週に一度だったり、
トイレにも行けず尿管が繋がれる場合もあります。
家にいられないぶん家事や育児がどうなっているかの
不安や心配も募るばかりだと思います。

自宅安静も入院も、どちらも本当につらいのです。

端から見ると、どうしても安静にしている妊婦さん本人より、
その周りの人々のほうがいろいろ動いているぶん
大変に見られがちだし思われがちだと思いますが、
当の妊婦は多かれ少なかれ、わたしが味わったのと
同じような不安や恐怖に取り憑かれていると思います。
いつか終わりがくるから、と励まされても、
そのいつかっていつだよ? と思い泣きそうになる。
頑張って耐えても、「コウノドリ」の漫画にあったように
悲しい結果に終わってしまうこともあるのです。
そうなったら本当につらいの一言では済まないでしょう。

幸い、わたしは○市を予定日三日超過で出産できました。
お腹の中にいるあいだ、ママはこれだけネガティブなことを
毎日ぐだぐだ考えまくっていたというのに、
当の○市は産まれてから四ヶ月経った今日まで、
ほとんどの手のかからない、とってもいい子です。
お腹すかせて泣いても「ちょっと待ってて~!」と
軽く十分くらい放置される不憫な感じで、
もう泣くのも疲れてしゃっくりなんか上げている頃に、
ようやくママが顔を出すという感じなのに。
「待たせてごめんねー!」とママから声をかけられると、
不機嫌になるどころか、にっこり笑ってくれるんです。
待ってたよ、って、わたしを見て笑うんです。

「コウノドリ」の中で主人公が「出産は奇跡。
僕らはいつも奇跡の一番そばにいる」と言っていますが、
育児だって奇跡の連続。
○市の笑顔や、そんな○市をかわいがり、
毎日元気に成長している○子を見ると、
こうして子供たちと過ごせている今、それ自体が
奇跡みたいなものだと思わずにはいられない瞬間があります。
だいたいそういうとき、わたしは幸せな気分になっています。


なかなか当事者にならないと「コウノドリ」に出てくるような
エピソードとは無縁に過ごすばかりかと思います。
わたし自身、切迫にならなかったらここまで
この漫画に惹かれなかったかもしれない、と思います。
だからこそ、ドラマでも漫画でも多くのひとに
この作品が広がったらいいな、と思います。
明日の最終回も時間が合えば見たいなと思っております。
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